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東京高等裁判所 平成9年(行ケ)12号 判決 1998年3月11日

埼玉県川口市大字新堀404番地

原告

株式会社キングパッケージ

代表者代表取締役

清水弘

訴訟代理人弁護士

藤本博光

鈴木正勇

東京都千代田区内神田1丁目13番7号

被告

日立化成ポリマー株式会社

代表者代表取締役

仲野康雄

訴訟代理人弁理士

八田幹雄

野上敦

主文

特許庁が、平成6年審判第20548号事件について、平成8年11月29日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

主文と同旨

2  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

被告は、名称を「紙継ぎ用両面接着テープ」とする実用新案登録第2000300号考案(昭和60年7月5日出願、平成3年9月10日出願公告、平成5年12月22日設定登録、以下「本件考案」という。)の実用新案権者である。

原告は、平成6年12月6日、被告を被請求人として、本件考案の実用新案登録を無効とする旨の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成6年審判第20548号事件として審理したうえ、平成8年11月29日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、同年12月24日、原告に送達された。

2  本件考案の要旨

テープの基材として、厚さが1~20μの金属箔と、5~60g/m2の紙又は不織布とを全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を使用することを特徴とする段ボール紙継ぎ用両面接着テープ。

3  審決の理由の要点

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本件考案が、その出願前に頒布された刊行物である実願昭50-55981号(実開昭51-134657号公報)のマイクロフィルム(審決甲第1号証の2、本訴甲第4号証の2、以下「引用例1」といい、そこに記載された考案を「引用例考案」という。)に記載された考案及び実願昭50-97847号(実開昭52-12666号公報)のマイクロフィルム(審決甲第10号証の2、本訴甲第5号証の2、以下「引用例2」という。)の記載に基づいて、当業者が極めて容易に考案することができたものとは認められないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本件考案の要旨及び引用例1、2の記載事項の各認定、本件考案と引用例考案との一致点及び相違点1の各認定並びに同相違点についての判断は認める。相違点2の認定及びこれについての判断並びに本件考案の効果についての判断は争う。

審決は、引用例考案の技術事項を誤認して相違点2の認定及び本件考案の効果についての判断を誤る(取消事由1、3)とともに、相違点2についての判断を誤った(取消事由2)結果、本件考案は当業者が極めて容易に考案することができたものとは認められないとの誤った結論に至ったものであるから、違法として取り消きれなければならない。

1  取消事由1(相違点2の認定の誤り)

審決は、「本件考案は、金属箔ラミネート紙が全面にわたって連続してラミネートしてなるものであることを規定しているのに対して、甲第1号証の2記載の考案(注、引用例考案)は、金属箔ラミネート紙がテープの表面に金属が附着した部分と附着しない部分が存在するものしか明らかにされていない点」(審決書10頁1~6行)を、本件考案と引用例考案との相違点2として認定したが、誤りである。

すなわち、引用例1には、テープの表面の一部に金属を附着(ラミネート)させた実施例の記載はあるが、テープの表面又は裏面の全面にわたり連続して金属を附着させた実施例は記載されていないので、審決は、該相違点の認定をするに当たって、引用例考案の構成を引用例1の実施例の記載に限定して、引用例考案の認定をしたものと解される。

しかしながら、引用例1の実用新案登録請求の範囲には、「テープ1の表面又は裏面に金属2を附着し、同テープ1の表面及び裏面に粘着剤3を塗布してなる巻取原紙接続用両面粘着テープ。」(審決書3頁16~18行)と記載されており、この記載にテープの表面又は裏面の全面にわたり連続して金属を附着させることが含まれることは明らかであって、テープの表面又は裏面の一部に金属を附着させ、金属が附着した部分と附着しない部分とを存在させるようにするとの限定は何らなされていない。

引用例考案の技術は、テープに金属を附着させることにより金属検出装置でテープの検出ができるようにしたことであり、その場合に、テープの一部に金属を附着させるようにする必要はない。引用例1に、テープの表面の全面にわたり連続して金属を附着させた実施例の記載がないのは、それが実用新案登録請求の範囲の記載そのものであり、あえて実施例として説明するまでもなかったからであるにすぎない。

したがって、引用例1には、テープの表面の全面にわたり連続して金属を附着させるものが記載又は示唆されているといえるから、「金属箔ラミネート紙がテープの表面に金属が附着した部分と附着しない部分が存在するものしか明らかにされていない」としてなした審決の上記相違点の認定は誤りである。

2  取消事由2(相違点2についての判断の誤り)

審決の上記相違点2についての判断中、「金属箔と紙又は不織布とを全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙は普通に知られたものである(例えば、甲第17号証(注、本訴甲第6号証)=石田修著「包装用ラミネーション」昭和51年10月5日、株式会社パッケージング社発行、第3頁~第10頁)」(審決書11頁10~15行)こと、「甲第10号証の2(注、引用例2)には、・・・アルミ箔を使用したテープ、アルミ真空蒸着テープ等の金属探知機に反応する粘着テープが周知慣用のものであった旨が記載されている。・・・これは、・・・テープの全面にわたってアルミ箔がラミネートされたもの、テープの全面にわたってアルミが真空蒸着されたものといえる」(同12頁5~15行)ことは認める。

審決は、「甲第10号証の2に周知慣用のものとして記載された、テープの全面にわたってアルミ箔がラミネートされた粘着テープは、片面粘着テープであって、ポリエステル、セロファン、ポリプロピレン等の透明な表層材にアルミ箔がラミネートされたものであると考えるのが自然であり、甲第10号証の2には、金属箔と紙又は不織布とをラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を使用することも、両面接着テープも示唆されていないというべきである。・・・甲第10号証の2の記載をもってしても、全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を両面粘着テープに使用することは、当業者がきわめて容易にできることとは認めることができない。」(同13頁4~18行)と判断したが、誤りである。

すなわち、テープの基材として紙又は不織布を用いるか、ポリエステル等を用いるか、また、テープを片面粘着テープとするか、両面粘着テープとするかは、テープの用途に応じた単なる設計事項にすぎない。引用例2は、その考案において、テープを金属検知器に反応させるとともに光電管に反応させないようにする目的があるので、透明なポリエステル等を用いることが記載されているが、単に金属検知器に反応させるだけの目的であれば、テープの基材として透明なポリエステル等を使用する必要はなく、通常用いられる紙又は不織布を採用することに困難はない。また、片面粘着テープと両面粘着テープとは接着面が片面か両面かという差異しかなく、両面を接着面とすることが必要な用途のために、片面粘着テープを両面粘着テープに変更することにも何も困難はない。

そして、引用例考案も引用例2に周知慣用のものとして記載されたものも、金属検知器により検出するために金属箔をラミネートした粘着テープであって、同一の技術分野に属し、同一の目的を有する技術であり、また、審決が引用する昭和51年10月5日株式会社パッケージング社発行の石田修著「包装用ラミネーション」(甲第6号証)のほか、昭和53年9月15日加工技術研究会発行の荒木正義編「ラミネート加工便覧」(甲第9号証)、昭和55年11月15日株式会社紙業タイムス社発行の紙業タイムス社編「新・紙加工便覧」(甲第10号証)、昭和43年12月1日株式会社合成樹脂工業新聞社発行の石田修著「アルミ箔とその応用加工」(甲第13号証)、昭和56年12月7日株式会社シーエムシー発行の檜垣寅雄編「粘着製品の技術と応用」(甲第28号証)に見られるように、アルミ等の金属箔と紙とを接着剤で全面にわたって連続してラミネートすることは、本件実用新案登録の出願当時、周知の技術であったから、仮に、引用例考案にテープの表面又は裏面の全面にわたり連続して金属を附着させるものが含まれていないとしても、引用例考案に引用例2に周知慣用のものとして記載されたものを応用して、本件考案のような構成とすることは当業者において極めて容易になし得ることである。

なお、被告は、原告が本件審判において、平成8年6月12日付上申書(乙第1号証)を提出して、引用例1及び引用例2に基づき本件考案に進歩性がないとする主張以外の主張を実質的に撤回した旨主張するが、同上申書は、審判におけるそれまでの原告の主張の重要なものを取り上げて整理したにすぎず、それ以外の主張を撤回する趣旨ではない。また、甲第28号証が審判において提出されなかったことは認めるが、上記のとおり、同刊行物は周知技術を立証するためのものであり、本訴においてこれに基づく主張ができないものではない。

3  取消事由3(本件考案の効果についての判断の誤り)

審決の本件考案の効果についての判断中、本件明細書に「一部に、両面接着テープの中央部分にアルミ箔をあらかじめ貼り合わせて巻回し、これを継ぎ用テープとすることで上記問題を解決する方法が試みられているが・・・テープの中央にアルミ箔が貼ってあるためテープの中央と端部に段差を生じて、巻巣が入りやすい上、テープの粘着性が損なわれるいわゆる風邪ひき現象の原因となるなどの欠点がある。又、製造された両面粘着テープの中に後からアルミ箔を挿入して巻回するため経済性の面でも好ましくない。」(審決書13頁末行~14頁10行)との記載があることは認める。

審決は、上記記載事項の認定に引き続いて「この記載によれば、テープの表面中央部に金属テープを附着した両面粘着テープ及びテープの表面に金属薄片を配置附着した両面粘着テープには様々な欠点が存在するのに対して、本件考案は、そのような欠点をもたないという効果を奏する・・・本件考案の上記効果は、甲第1号証の2及び甲第10号証の2の記載を総合しても当業者が予期できないものである。」(同14頁10~18行)と判断したが、誤りである。

すなわち、引用例考案にテープの表面又は裏面の全面にわたり連続して金属を附着させるものが含まれていることは上記1のとおりであるから、この点の構成をこれと同じくする本件考案の「上記効果」は、引用例考案においても当然に奏するものである。

また、審決の上記判断は、本件明細書の記載のみを根拠とするものであるが、引用例1の図面第3図、第5図に示されているとおり、金属薄片を配置附着した両面粘着テープ及び中央部に金属テープを附着した両面粘着テープにおいても、段差は見られず、巻巣が入ることはないのであるから、そのような欠点が存在するとの認定は誤りである。

したがって、いずれにしても、本件考案の効果は、格別顕著なものということはできない。

第4  被告の反論の要点

審決の認定・判断は正当であり、原告主張の取消事由はいずれも理由がない。

1  取消事由1について

引用例1の実用新案登録請求の範囲の記載が原告主張のとおりであることは認める。

しかしながら、引用例1は、その実用新案登録請求の範囲においても、テープの表面又は裏面の全面にわたり連続して金属を附着したとは記載されていないのみならず、考案の詳細な説明には、「金属2には鉄 アルミ等磁性又は非磁性金属の粉末又は薄片(第2図、第3図参照)を用い或はテープ1の長手方向に金属テープ2を縁部又は中央部等に配置接続させて用いることができる。」(審決書3頁末行~4頁3行)と記載されており、図面第2、第3図には、テープ1の表面に1辺の長さがテープ1の幅のほぼ1/7である正方形状の金属薄片を金属辺縁の1辺がテープ1の縁に来るようにテープ1の幅方向に4個等間隔で配置し、長さ方向にもほぼ同じ間隔で配置して附着した両面粘着テープの具体例が、また、図面第4、第5図には、テープ1の表面中央部に幅がテープ1の幅のほぼ2/7である金属テープを附着した具体例が示されている。

したがって、引用例1に開示されている金属2は、あくまでも粉末若しくは薄片又はテープの縁部若しくは中央部等に配置接着される金属テープであり、テープ1に対し部分的なものであって、引用例考案における金属2がテープ1の全面にわたり連続して附着されたものであることはありえない。

また、引用例考案は、巻取原紙接続用両面粘着テープというその使用目的に照らし、必ずしも金属を全面にわたり連続してラミネートする必要はなく、部分的に金属が附着されていればその目的を達成できるものである。金属を全面にわたり連続してラミネートするという技術思想は、本件考案のように、金属片が部分的にしか附着されていない粘着テープにおける巻巣及び段差の発生を防止するという技術課題を認識した場合に、その課題解決の手段として得られるものであって、そのような課題の認識がない引用例1に、テープの表面の全面にわたり連続して金属を附着させる技術思想が示唆されているとすることはできない。

したがって、審決の相違点2の認定に誤りはない。

2  取消事由2について

一般に、各考案は、その目的を達成するために解決すべき手段であると考案者が認識する構成要件からなるものである。引用例2に記載された考案は、包装材料の接続用テープであって、光電管に反応しないようにするため透明なポリエステル等を使用する片面粘着テープとして構成されるものであり、引用例2に周知慣用のものとして記載されたものもこれと同一の使用目的を有するものであるから、金属箔を紙又は不織布にラミネートすることはありえないし、また両面粘着テープであることもありえない。

すなわち、引用例2には、金属箔と紙又は不織布とをラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を使用し、あるいは両面粘着テープとするという思想は存在せず、そのようなものとするということは全く示唆されていないのである。

したがって、引用例2に周知慣用のものとして記載されたもののテープの基材として紙又は不織布を採用すること、あるいはそれを両面粘着テープに変更することに困難はないとする原告の主張は誤りである。

また、原告は、甲第6号証を引用して、金属箔と紙とを接着剤で全面にわたって連続してラミネートすることが周知の技術であったから、テープの全面にわたり連続して金属を附着させるものが含まれていない引用例考案に引用例2に周知慣用のものとして記載されたものを応用することは当業者において極めて容易になし得ることであると主張するが、甲第6号証は包装用紙のラミネートに関するもので、直ちに粘着テープに応用できるものではない。

したがって、審決の相違点2についての判断に誤りはない。

なお、原告は、本件審判において、平成8年6月12日付上申書(乙第1号証)を提出して、引用例1及び引用例2に基づき本件考案に進歩性がないとする主張以外の主張を実質的に撤回しており、本訴においてこれを主張することはできない。また、甲第28号証は審判において提出されなかったから、これに基づく主張をすることもできない。

3  取消事由3について

引用例考案がテープの全面にわたり連続して金属が附着されたものではないことは上記1のとおりであるから、審決の認定した本件考案の効果が引用例考案においても当然に奏するものであるとする原告の主張は誤りである。

また、原告は、引用例1の図面第3図、第5図に示されている金属薄片を配置附着した両面粘着テープ及び中央部に金属テープを附着した両面粘着テープに巻巣が入ることはないと主張するが、誤りである。

すなわち、上記各図のような構造のものを製造しようとすれば、比較的粘度の低い多量の揮発分を含有する粘着剤、例えば不揮発分が40%であるような粘着剤を塗布した後、金属片を載置し、さらに同じ粘着剤を塗布する必要があるところ、この上層の粘着剤が乾燥すれば、60%の揮発分が揮散して接着剤層の厚みは半減するが、金属片の厚みは不変であるから、金属片の存在しない箇所の層厚は、これが存在する箇所の層厚より薄くなり、このような粘着テープを数百枚重ねて巻き取られた粘着テープには段差が生じて巻巣が発生することになる。仮に無溶剤のホットメルタ型の粘着剤を用いる場合でも、ファウンティンダイ方式等の押出し方式で、均一の厚みで粘着剤を吐き出し、塗工せざるを得ないので、金属片の存在箇所では金属片の厚みの分だけ厚くなるから、巻き取られた粘着テープには段差が生じて巻巣が発生することに変わりはないのである。

したがって、本件考案の効果が顕著なものではないとする原告の主張は誤りである。

第5  当裁判所の判断

1  取消事由1(相違点2の認定の誤り)について

(1)  引用例1の実用新案登録請求の範囲に「テープ1の表面又は裏面に金属2を附着し、同テープ1の表面及び裏面に粘着剤3を塗布してなる巻取原紙接続用両面粘着テープ。」(審決書3頁16~18行)との記載があることは当事者間に争いがない。

この記載によれば、引用例1の実用新案登録請求の範囲において、文言上、テープ1の表面又は裏面に金属2を附着させる態様、ことにテープ1の表面又は裏面の全面にわたり連続して金属2を附着させるか、あるいはその一部に金属2を附着させて金属非附着部分を残すかについて、何らの限定もなされていないことが明らかであるから、考案の詳細な説明又は添付図面において、実質上その限定がなされているものと認められない限り、引用例考案はその両方の態様を含むものと解すべきものである。

(2)  引用例1の考案の詳細な説明に「金属2には鉄 アルミ等磁性又は非磁性金属の粉末又は薄片(第2図、第3図参照)を用い或はテープ1の長手方向に金属テープ2を縁部又は中央部等に配置接続させて用いることができる。」(審決書3頁末行~4頁3行)、「従来コルゲートマシンにおいて、巻取原紙からクラフト紙による原紙を引出し段ボールシートのライナーとなすに際し、巻取原紙が解かれてその終端部4に更新巻取原紙の始端部5を重合し、その重合部6に両面粘着テープを介在させて上記終端部4と始端部5とを接続させたものである。」(同4頁6~11行)、「従来段ボールシート製造後においては上記接続部分(重合部6)の発見が困難であって・・・その重合部6が段ボールシート製品のライナーとして機械から搬出されてくるまで機械を徐行運転し、かつ製品段ボールの上記重合部6を発見するために多くの時間と労力を必要とする欠陥があったものである。」(同頁13行~19行)、「本案は上記欠陥に鑑みなされたものであって、・・・重合部6に、表面又は裏面に金属2を附着させたテープ1の両面に粘着剤3を塗布してなる両面テープaを介在させて同重合部6を容易に接続させることができるばかりでなく、機械から搬出される製品段ボールシートの上記重合部6を光電管等による金属検出装置7によって迅速に検出し得るばかりでなく、その検出のため機械を徐行運転させる必要がないから製造時間を短縮しかつ労力を節減し得て段ボールシート製造能率を向上し得る便益がある。」(同5頁1~12行)との各記載があり、添付図面に「テープ1の表面に1辺の長さがテープ1の幅のほぼ1/7である正方形状の金属薄片を金属薄片の1辺がテープ1の縁に来るようにテープ1の幅方向に4個等間隔で配置し、長さ方向にもほぼ同じ間隔で配置して附着した両面粘着テープの具体例(第2図、第3図)及び、テープ1の表面中央部に幅がテープ1の幅のほぼ2/7である金属テープを附着した両面粘着テープの具体例(第4図、第5図)」(同頁14行~6頁2行)が示されていることは当事者間に争いがない。

上記各記載によれば、引用例1の考案の詳細な説明には、引用例考案における金属2のテープ1への附着の具体的態様として、金属粉末を附着させる態様、金属薄片を附着させる態様、テープ1の長手方向の縁部に金属テープを附着させる態様及びテープ1の長手方向の中央部に金属テープを附着させる態様の4通りが挙げられており、そのうち金属薄片をテープ1の表面に附着させる態様が図面第2、第3図に、テープ1の表面の長手方向の中央部に金属テープを附着させる態様が同第4、第5図に示されているものと認められる。

考案の詳細な説明に示された前示4通りの附着の具体的態様は、いずれもテープ1の表面又は裏面の一部に金属2(粉末、薄片又は金属テープ)を附着させて、金属非附着部分を残すものと一応いうことができる。しかしながら、考案の詳細な説明には、テープ1の表面又は裏面における金属2の附着部分の形状や附着部分の割合、すなわち、金属粉末の附着部分の範囲や粉末層の厚み、金属薄片の幅方向の個数や上下左右の薄片間の間隔、金属テープの幅等について、これを限定する何らの記載もなされていないから、図面第2~第5図に示されたものはそれぞれの態様の具体的な1例にすぎず、これらの事項は、機械から搬出される製品段ボールシートの重合部6を、光電管等による金属検出装置7によって迅速正確に検知するという引用例考案の目的に適合する限度で、適宜に設定されるものであると解することができる。

しかるところ、金属検出装置による製品段ボールシートの重合部の検知という作用が、該検出装置にテープの表面又は裏面に附着された金属が反応することによって果たされるものであること、すなわち、テープの表面又は裏面における金属非附着部分の存在はこの作用自体に何ら寄与するものではないことは技術常識ということができ、さらに引用例1を見ても、他に金属非附着部分の存在を引用例考案の必須の要件とすること、あるいはそのことを示唆する技術的事項は記載されていない。そうであれば、引用例考案における金属2のテープ1への附着の具体的態様、ことに金属薄片又は金属テープを附着させる態様において、金属2の附着部分の形状や附着部分の割合を設定するに当たり、金属非附着部分を全く存在させないように設定することが排除されているものということはできないところ、そのように設定されたものは、テープ1の表面又は裏面の全面にわたり連続して金属2を附着させる態様に他ならない。

そうすると、引用例1の考案の詳細な説明又は添付図面においても、引用例考案がテープ1の表面又は裏面の一部に金属2を附着させて、金属非附着部分を残す態様に限定されているものと認めることはできないというべきである。

如上のとおり、引用例1の考案の詳細な説明又は添付図面においても、引用例考案がテープ1の表面又は裏面の一部に金属2を附着させて、金属非附着部分を残す態様に限定されているものと認めることはできないから、引用例1に開示された引用例考案には、テープ1の表面又は裏面の全面にわたり連続して金属2を附着させる態様が含まれるものと解することができる。

したがって、引用例考案には、金属箔ラミネート紙がテープの表面に金属が附着した部分と附着しない部分が存在するものしか明らかにされていないものとし、この点を本件考案と引用例考案との相違点とした審決の認定は誤りといわなければならない。

2  取消事由3(本件考案の効果についての判断の誤り)について

本件明細書に「一部に、両面接着テープの中央部分にアルミ箔をあらかじめ貼り合わせて卷回し、これを継ぎ用テープとすることで上記問題を解決する方法が試みられているが・・・テープの中央にアルミ箔が貼ってあるためテープの中央と端部に段差を生じて、巻巣が入りやすい上、テープの粘着性が損なわれるいわゆる風邪ひき現象の原因となるなどの欠点がある。又、製造された両面粘着テープの中に後からアルミ箔を挿入して卷回するため経済性の面でも好ましくない。」(審決書13頁末行~14頁10行)との記載があることは当事者間に争いがない。

そして、この記載に依拠した審決の「テープの表面中央部に金属テープを附着した両面粘着テープ及びテープの表面に金属薄片を配置附着した両面粘着テープには様々な欠点が存在するのに対して、本件考案は、そのような欠点をもたないという効果を奏する・・・本件考案の上記効果は、甲第1号証の2及び甲第10号証の2の記載を総合しても当業者が予期できないものである。」(同14頁11~18行)との判断は、引用例1(審決甲第1号証の2)に関しては、引用例考案に金属箔ラミネート紙がテープの表面に金属が附着した部分と附着しない部分が存在するものしか明らかにされていないとの認定を前提としたものであることが明らかであるところ、前示1のとおり、かかる認定は誤りであって、引用例考案には、テープの表面又は裏面の全面にわたり連続して金属を附着させる態様が含まれるものであるから、そのような態様においては引用例考案も「本件考案の上記効果」を奏するものというべきである。

すなわち、審決の認定した本件考案の効果は格別顕著なものということはできず、この点の審決の判断は誤りといわなければならない。

3  以上のとおりであるから、その余の点につき判断するまでもなく、原告の請求は理由があるので、これを認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 田中康久 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

平成6年審判第20548号

審決

埼玉県川口市大字新堀404番地

請求人 株式会社キング・パッケージ

東京都千代田区永田町2丁目14番2号 山王グランドビルヂング3階317区 藤本特許法律事務所

代理人弁理士 髙橋久夫

東京都千代田区永田町2丁目14番2号 山王グランドビルヂング3階317区 藤本特許法律事務所

代理人弁理士 鈴木正勇

東京都千代田区永田町2丁目4番2号 山王グランドビルヂング3階317区 藤本特許法律事務所

代理人弁理士 藤本博光

東京都千代田区永田町2丁目14番2号 山王グランドビルヂング3階317区 藤本特許法律事務所

代理人弁理士 神田正義

東京都千代田区内神田1丁目13番7号

被請求人 日立化成ポリマー株式会社

東京都千代田区二番町11番地9 ダイアパレス二番町

代理人弁理士 八田幹雄

上記当事者間の登録第2000300号実用新案「紙継ぎ用両面接着テープ」の登録無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

審判費用は、請求人の負担とする。

理由

〔手続の経緯〕

本件登録第2000300号実用新案(以下、「本件考案」という)は、昭和60年7月5日に実用新案登録出願され、出願公告(実公平3-43218号公報参照)後の平成5年12月22日にその設定の登録がなされたものである。

〔本件考案の要旨〕

本件考案の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりの下記にあるものと認める。

「テープの基材として、厚さが1~20μの金属箔と、5~60g/m2の紙又は不織布とを全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を使用することを特徴とする段ボール紙継ぎ用両面接着テープ。」

〔請求人の主張〕

請求人は次の主張をしている。

本件考案は、その出願前に頒布された刊行物である甲第1号証の2(実願昭50-55981号(実開昭51-134657号公報)の願書に添付した明細書及び図面を撮影したマイクロフイルム)記載の考案から、又は、同考案及び本件考案の出願前に頒布された刊行物である甲第10号証の2(実願昭50-97847号(実開昭52-12666号公報)の願書に添付した明細書及び図面を撮影したマイクロフイルム)の記載から当業者がきわめて容易に考案をすることができたものでかるから、実用新案法第3条第2項の規定に違反して実用新案登録されたものであり、同法第37条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。

〔当審の判断〕

<甲第1号証の2の記載事項>

甲第1号証の2には次の事項が記載されている。「テープ1の表面又は裏面に金属2を附着し、同テープ1の表面及び裏面に粘着剤3を塗布してなる巻取原紙接続用両面粘着テープ。」

(実用新案登録請求の範囲)

「金属2には鉄 アルミ等磁性又は非磁性金属の粉末又は薄片(第2図、第3図参照)を用い或はテープ1の長手方向に金属テープ2を縁部又は中央部等に配置接続させて用いることができる。テープ1には紙テープが用いられるものである。」

(第1頁第12行~第17行)

「従来コルゲートマシンにおいて、巻取原紙からクラフト紙による原紙を引出し段ボールシートのライナーとなすに際し、巻取原紙が解かれてその終端部4に更新巻取原紙の始端部5を重合し、その重合部6に両面粘着テープを介在させて上記終端部4と始端部5とを接続させたものである。」

(第1頁第18行~第2頁第3行)

「従来段ボールシート製造後においては上記接続部分(重合部6)の発見が困難であって原紙を人力で重合6させた後その重合部6が段ボールシート製品のライナーとして機械から搬出されてくるまで機械を除行運転し、かつ製品段ボールの上記重合部6を発見するために多くの時間と労力を必要とする欠陥があったものである。」

(第2頁第8行~第14行)

「本案は上記欠陥に鑑みなされたものであって本案は上述のように構成したので巻取原紙の終端部4と更新巻取原紙の始端部5との重合部6に、表面又は裏面に金属2を附着させたテープ1の両面に粘着剤3を塗布してなる両面テープaを介在させて同重合部6を容易に接続させることができるばかりでなく、機械から搬出される製品段ボールシートの上記重合部6を光電管等による金属検出装置7によって迅速に検出し得るばかりでなく、その検出のため機械を除行運転させる必要がないから製造時間を短縮しかつ労力を節減し得て段ボールシート製造能率を向上し得る便益がある。」

(第2頁第15行~第3頁第6行)

甲第1号証の2には更に、テープ1の表面に1辺の長さがテープ1の幅のほぼ1/7である正方形状の金属薄片を金属薄片の1辺がテープ1の縁に来るようにテープ1の幅方向に4個等間隔で配置し、長さ方向にもほぼ同じ間隔で配置して附着した両面粘着テープの具体例(第2図、第3図)及び、テープ1の表面中央部に幅がテープ1の幅のほぼ2/7である金属テープを附着した両面粘着テープの具体例(第4図、第5図)が示されている。

<甲第10号証の2の記載事項>

甲第10号証の2には次の事項が記載されている。

「透明部分と、金属探知機に反応する部分を、交互に配置した粘着型接続テープ」

(実用新案登録請求の範囲)

「・・・包装材料には、いろいろな性質を付与するために・・・不良個所の発生も多くなって来ている。一般には、これらの不良個所は、包装材料の加工業者で検査して、取り除き、良品のみを接続して、規定の長さに巻き上げているのが通常である。この接続の場合、粘着性を有するフイルムテープを接続用テープとして使用するのが通常であるが、この接続テープは自動包装されたのちに、容易に発見除去されやすいように、赤色文は青色等に着色したものを使うことが望ましい。」

(第1頁第16行~第2頁第8行)

「従来すでに、アルミ箔を使用したテープ、アルミ真空蒸着テープなど一般に金属を使用し、当然金属探知機に反応するテープが市販されていることは周知のことであるが、かかる従来の金属を使用したテープは、一方で切断のための光電管にも反応するので、上記の目的には不適当である。」

(第4頁第5行~第11行)

「本考案は透明部分と、金属探知機に反応する部分を交互に設置した粘着型接続テープに係るもので、金属探知機によって接続個所が容易に識別出来、しかも切断のための光電管とは反応しない様使用出来る粘着型接続テープである。」

(第4頁第12行~第16行)

「これを図面について説明すると、第1図に於て本考案の接続テープの好適一型式はポリエステル、セロファン、ポリプロピレン等の寸法安定性の良い透明な表層材(1)の裏面に、印刷、蒸着などの方法により、金属を接着せしめ(2)、その内面に再びフイルム(4)を接着剤(3)にて接着せしめて、更に粘着剤(5)を塗布してなるものである。表層材の表面には、粘着剤の粘着力の強いものを要求される場合には、シリコーン等の剥離材を塗布(6)することもあり得、また内層フイルム(4)は省略することもあり得る。」

(第4頁第17行~第5頁第8行)

「そして本考案の接続テープの特徴とするところは、上記の如き金属(2)の接着を全面に行うのではなく、例えば第2図の如く透明部分に対し金属探知機に反応する金属接着部分を横縞状に設けることにある。第2図において(7)は透明部分、(8)は金属接着部分であり交互に設置されている。」(第5頁第9行~第15行)

「上記の如き本考案のテープで透明部分が光電管マークの走行線上にあてる様にして自動包装用テープを接続することにより、切断時に反応するおそれがなく、しかも包装後金属探知機で容易に発見することが出来るので包装材料加工者のロス削減、包装材料のコストダウンが実現出来、又内容物の生産包装者には、検査等の人件費の削減、不良品混入の事故防止などの効果を得るもので、非常に有用な考案である。」

(第6頁第12行~末行)

<対比・判断>

そこで先ず、本件考案と甲第1号証の2記載の考案とを対比する。

甲第1号証の2記載の考案は、金属2としてアルミニウム等の薄片を用いること、及び、テープ1として紙テープを用いること、巻取原紙は段ボール紙用のものであることを明らかにしている。

そして、テープ1と金属の薄片との附着は「ラミネート」であるとして差し支えない。

従って、両考案は、テープ基材として、金属箔と紙とをラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を使用する段ボール紙継ぎ用両面接着テープの考案である点で一致しており、次の2点で相違する。

1. 本件考案は、金属箔の厚さを1~20μ、紙の単位面積当たりの重さ(坪量)を5~60g/m2と規定しているのに対して、甲第1号証の2記載の考案は、これらの具体的な値を明らかにしていない点、

2. 本件考案は、金属箔ラミネート紙が全面にわたって連続してラミネートしてなるものであることを規定しているのに対して、甲第1号証の2記載の考案は、金属箔ラミネート紙がテープの表面に金属が附着した部分と附着しない部分が存在するものしか明らかにされていない点、

次に、これらの相違点について検討する。

相違点1について:

紙との貼合に用いるアルミ箔として、例えば厚さが0.007mm、即ち厚さ7μ程度のものが普通に用いられている(甲第14号証=石田修著「アルミ箔とその応用加工」昭和43年12月1日、株式会社合成樹脂工業新聞社発行、第24頁~第26頁、第178頁~第182頁、甲第15号証=荒木正義編「新ラミネート加工便覧」昭和58年11月30、加工技術研究会発行、第260頁~第261頁)。

また、重さ10~60g/m2の紙は、特殊なものではない(甲第21号証=小林良生監修「化繊紙から機能紙へ(機能誌研究会誌再編合本)」1988年10月25日ユニ出版株式会発行、第383頁~第386頁)。

してみれば、甲第1の2号証記載の考案において、段ボール接続のため、及び金属検出反応のために当然要求される紙及び金属箔のの強度、コスト等を考慮して、1~20μの金属箔、及び5~60g/m2の紙を選択して用いること自体は、当業者がきわめて容易にできることである。

相違点2について:

金属箔と紙又は不織布とを全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙は普通に知られたものである(例えば、甲第17号証=石田修著「包装用ラミネーション」昭和51年10月5日、株式会社パッケージング社発行、第3頁~第10頁)。

しかしながら、甲第1号証の2には、金属箔と紙又は不織布とを全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を両面接着テープに使用すること、及びそれによって、テープの中央と端部に段差を生じて、巻巣が入りやすく、テープの接着性が損なわれる等の欠点が解消されることを示唆する記載はなされていない。

そのため、この相違点は、本件考案と甲第1号証記載の考案との本質的な相違点であるといえる。

ところで、甲第10号証の2には、甲第10号証の2に係る実用新案登録出願の出願時において、アルミ箔を使用したテープ、アルミ真空蒸着テープ等の金属探知機に反応する粘着テープが周知慣用のものであった旨が記載されている。

そして、これは、甲第10号証の2に係る考案、即ち透明部分と金属探知機に反応する部分を交互に設置した粘着型接続テープと対比して記載されたものであるから、テープの全面にわたってアルミ箔がラミネートされたもの、テープの全面にわたってアルミが真空蒸着されたものといえる。

しかしながら、甲第10号証の2に記載された粘着テープは、表層材の表面に粘着剤層を有しておらず、シリコーン等の剥離材を塗布することもあり得るとされているところから、片面粘着テープであるといえる。また、この表層材は、ポリエステル、セロファン、ポリプロピレン等の透明なものから構成されており、紙又は不織布からは構成されていない。

したがって、甲第10号証の2に周知慣用のものとして記載された、テープの全面にわたってアルミ箔がラミネートされた粘着テープは、片面粘着テープであって、ポリエステル、セロファン、ポリプロピレン等の透明な表層材にアルミ箔がラミネートされたものであると考えるのが自然であり、甲第10号証の2には、金属箔と紙又は不織布とをラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を使用することも、両面接着テープも示唆されていないというべきである。

してみれば、甲第10号証の2の記載をもってしても、全面にわたって連続してラミネートしてなる金属箔ラミネート紙を両面粘着テープに使用することは、当業者がきわめて容易にできることとは認めることができない。

次に、本件考案の効果について検討する。

本件登録実用新案明細書には、「一部に、両面接着テープの中央部分にアルミ箔をあらかじめ貼り合わせて巻回し、これを継ぎ用テープとすることで上記問題を解決する方法が試みられているが・・・テープの中央にアルミ箔が貼ってあるためテープの中央と端部に段差を生じて、巻巣が入りやすい上、テープの粘着性が損なわれるいわゆる風邪ひき現象の原因となるなどの欠点がある。又、製造された両面粘着テープの中に後からアルミ箔を挿入して巻回するため経済性の面でも好ましくない。」との記載がなされており、この記載によれば、テープの表面中央部に金属テープを附着した両面粘着テープ及びテープの表面に金属薄片を配置附着した両面粘着テープには様々な欠点が存在するのに対して、本件考案は、そのような欠点をもたないという効果を奏することが理解できる。

そして、本件考案の上記効果は、甲第1号証の2及び甲第10号証の2の記載を総合しても当業者が予期できないものである。

したがって、本件考案が前記甲第1号証の2記載の考案及び甲第10号証の2の記載に基づいて当業者がきわめて容易に考案をすることができたものとは認められないので、本件考案が実用新案法第3条第2項の規定に違反して登録されたとすることはできない。

〔結び〕

以上のとおりであるから、審判請求人の前記主張は採用しない。

よって、結論のとおり審決する。

平成8年11月29日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

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